
体験してみないと分からない異文化
「異文化」を理解しているつもりでも、実際に体験してみないと本当の意味が理解できないのも事実である。ある国では常識であることも、別の国では非常識となり、トラブルを引き起こす原因となりかねない。皆さんがハンガリーにこられた時のことを思い出してほしい。文化や考え方が異なる事で困ったことが一度や二度ではなかったはずである。日常生活ではもちろんのこと、企業経営においても、文化の違いから起きる誤解や問題はきわめて頭を悩ませるものである。言葉の壁、コミュニケーション(技法)の相違、交渉方法の違い、現地の労働環境の特徴、異なるビジネスカルチャー、法規の目的、また、それにあった作り方・教育・育成に対する考え方、などなど、全て日々の仕事に大きく影響するものばかりである。これほど多くの違いがあるのだから、日本人がハンガリー人と一緒に仕事をするとなると、お互いに違和感を感じるのは当然のことである。
採用と離職
ハンガリーの教育制度とその後の就職活動も日本とは根本的に違うので、ハンガリーの一般的な採用方法、条件、タイミング、また、その後の人材育成システムとの違いを簡単には理解できないであろう。必要なコンピタンスを兼ね備えた人材を採用し、それに見合う給料を支給し、福利厚生を提供する。そして、ハンガリー人は職場が変わっても、同じ職種に残るというのが、ハンガリーのやり方である。例え昇格できたとしても、転職しても、経理の人はずっと経理の仕事、人事の人はずっと人事の仕事をするのが一般的である。
日本のように高校・大学新卒を比較的低い賃金で雇用し、その後、職場で教育し、様々な部署に配属し、段階的に昇格させる人事とは大きく異なる。さらに、日本人はハンガリー人が企業を退職する理由とその頻度に驚ろくだろう。ハンガリーの場合、ホワイトカラーは3年から5年に一度、ブルーカラーは毎年転職をすると言われている。このような職場環境の中で、どうしたら人材を育成できるのか、どのように企業が経営できるのかという質問が日本企業から多く寄せられる。


契約がすべて
ハンガリーでは採用時の雇用契約書において、各々の従業員の仕事内容の全てが詳細に渡って明記されている。だから、そこに記載されていること以外の仕事を従業員がすることはないし、する義務もない。また、従業員が解雇の対象になることを恐れて、自分自身の持つ知識や技術を同僚に教えたりしない、という事情もある。日本では上司が「これもやってくれる?」と部下に平気で頼むことが多いが、ハンガリーでは雇用契約内容に含まれていないものであれば、一般的には上司から頼まれても部下はやらないケースが多い。仮に雇用契約内容以外の仕事をさせてしまった場合、追加給与の支払いが発生し、場合によっては従業員から訴えられることもある。従業員自ら仕事を見つけ、どんなことでもすぐやってくれるような社員を評価する日本企業の経営者にとっては、マネージメントしづらい面でもある。
個人主義社会と個人主義会社
ハンガリーでは、企業も個人個人の集まりである。したがって、責任は個人の責任、判断は個人の判断、成果も個人の成果という考え方をベースに人事が構成されている。ハンガリーの企業は不定期に一人ひとりと雇用条件を交渉し契約を結ぶ。その上で、各個人のモチベーションを上げ、評価をし、キャリアパスも個人を対象に用意される。したがって、各部署に配置する個人の知識、能力、コンピタンス、対応に企業のすべてがかかっていると言っても過言ではない。ハンガリー人は社会、仕事、全てにおいて「個人」というものを第一に考えるため、社員が代わっても別の社員が同じ仕組みで同じ仕事を同じようにできるような機能をもった日本型経営にはどうしても拒絶反応を起こしてしまう。社員と社員の間に区別をつけず、社員をできる限り同等に扱いたいとする日本型人事は、ハンガリーでは成功しない場合が多い。したがって、ただ単に決まったまったことを全ての社員に同じように決まった通りやってもらうということが非常に難しい。


“異文化で困っているが…”(サービス紹介)
異文化を理由に上記のような沢山の問題・課題を抱える日本企業は殆どの場合、有効な解決方法をみつけられないのが現状のようである。自分たちが慣れ親しんでいる人事の考え方が通用しない。詳細に検討して決めたことが、思うような結果に繋がらない、あるいは想定とは逆の結果に繋がってしまうこともある。
異文化の中での企業経営の難しさを自ら経験をしている BAc & Co. Ltd.は、ハンガリーに進出している外資系企業の(その中で日系企業も)、サポートをする異文化センターをスタートさせた。現在は13の国の生活文化、企業文化、労働市場の文化的違い(法規、ビジネスマナー、マネージメントの特徴、人事の考え方と役割、人材育成の方法、言葉の壁の問題、現地ハンガリー人の考え方などについて)様々な解決方法を提供できる体制を整えている。
異文化コンサルティング、教育研修、コンフリクトのメディエーションなどといったサービスについて以下でお問い合わせください。
弊社のサービスに興味を持たれる方は
以下のポストをご参照ください
どこの企業でも人事では色々と問題を抱えている。採用から、給料・給与に対するポリシーと給料設定にかけて、従業員の評価、キャリアーパス対策まで様々な因子がある。異文化の働く企業も基本的に同じ課題、同様な問題を抱えることになるが、人事の基本的な考え方、問題の原因の解釈、問題意識の内容又そのレベルに大きな違いが見られる。
日本会社のしきたりをハンガリー企業のそれと比較すると、大きな違いは、昇格の背景にある人事ポリシー、昇格のプロセスとその回数である。